
最近、通販サイトやフリマアプリなどで「超大容量USBメモリ」「256GBなのに激安!」といった製品を目にすることが多くなりました。
 しかし、これらの中には**実際の容量を偽装した“偽物USBメモリ”**が多数混ざっており、見た目ではまったく判別できません。
今回あなたが体験している「ファイルを入れて半分くらいまで正常、その後にエラー・再生不可・削除できない」という症状は、まさに容量詐称USBの典型的な動作です。
 一見すると“258GB入る”と表示されても、実際には中身のフラッシュメモリが32GBや64GBしかないというパターンが非常に多いのです。
ここでは、そうした「大容量なのに安いUSB」がなぜ危険なのか、
 本当に不良品なのか、あるいは詐欺的な偽装品なのかを見極めるための考え方と確認手順を、わかりやすく説明していきます。
- 発生している症状の整理
 - 原因として考えられる2つのパターン
 - なぜ海外製や激安USBに多いのか
 - 容量詐称USBを確認する方法
 - フォーマットしても直らない理由
 - 不良品か偽物かを見分けるポイント
 - 今後の安全な対処法
 - まとめ:繰り返すトラブルは“故障”ではなく“偽物”のサイン
 
発生している症状の整理
あなたの状況を時系列で整理すると次のようになります。
- 海外製の「258GB」と表記されたUSBメモリを購入。
 - ファイルを入れ始めたところ、最初のうちは問題なく書き込めた。
 - しかし容量が半分を超えたあたりから、ファイルが壊れたり再生できなくなったり。
 - さらに削除もできなくなり、最終的にはフォーマットし直す必要が出た。
 
これはまさに、書き込み容量の上限を超えたことで内部データが破損している状態です。
 普通の不良品(初期不良やチップの破損)ではなく、もっと構造的な問題が隠れています。
原因として考えられる2つのパターン
(1) 容量詐称(Fake Flash)USBメモリ
もっとも多いのがこれです。
 中国や一部の海外ECサイトで販売されている激安USBの多くは、内部のコントローラを改ざんし、OS上で容量を偽装表示しています。
たとえば、実際は「32GB」のフラッシュメモリしか搭載していないのに、
 PCに挿すと「258GB」と認識されるようにチップを書き換えてあるのです。
その結果、最初の32GBまでは正常に保存できますが、それを超えると存在しない領域に書き込むことになるため、
 データが破損したり、ファイルが再生できなくなったり、削除も不能になるという現象が発生します。
このタイプのUSBはフォーマットしても直らず、
 再度ファイルを入れても同じ部分で破損が再発します。
(2) 本当に壊れている(品質不良)USBメモリ
もうひとつの可能性は、製品自体は本物だが、内部のメモリセルが初期不良や劣化を起こしている場合です。
 この場合は容量詐称ではなく、単純に「記録できないセル」が増えている状態です。
ただしこのケースでは、エラーは特定のファイルやフォルダに集中して起きることが多く、
 半分を超えた地点で突然壊れるような規則性は見られません。
つまり、あなたのように「半分を超えた途端に壊れる」「毎回同じ位置で破損する」という場合は、
 容量詐称の可能性が非常に高いと判断できます。
なぜ海外製や激安USBに多いのか
容量詐称USBの多くは、中国の深センや香港などで作られており、
 安価な中古メモリチップや廃棄SSDの再利用品を組み合わせて生産されています。
製造業者は、内部チップに書き込まれた容量情報を不正に書き換え、
 本来よりもはるかに大きな容量としてOSに認識させます。
たとえば、実際32GBなのに
 → システム上では「256GB」「512GB」と表示される。
そしてAmazonやAliExpressなどのマーケットプレイスに「格安大容量USB」として出品されるわけです。
 しかも、パッケージや印刷ラベルが本物っぽく見えるため、見た目だけでは区別がつきません。
こうした商品は「動作確認済み」や「正規品保証」と書かれていても、実際には中身が異なることが多く、
 一度データを入れてみて初めて問題が発覚します。
容量詐称USBを確認する方法
「もしかして偽物かも?」と思ったときは、実際の書き込みテストを行うのがいちばん確実です。
 表示上の容量だけでは絶対に判別できません。
Windowsで使える代表的な無料ツールを紹介します。
● H2testw(Windows専用)
もっとも信頼性の高い検証ツールです。
 USBメモリ全体にランダムデータを書き込み、その後で読み出しチェックを行い、
 本当に書き込めた容量とエラー領域を詳細に表示してくれます。
使い方はシンプルです。
 (1) ツールを起動し、USBドライブを選択。
 (2) 「すべての空き領域をテストする(All available space)」を選ぶ。
 (3) 「Write + Verify」をクリックして完了を待つ。
結果に「Test finished without errors」と出れば本物。
 「Error at xxGB」と出たら、それ以降の領域は実在していません。
● FakeFlashTest(簡易版)
H2testwより短時間で確認できます。
 こちらも容量詐称製品を判別する目的で開発された専用ツールで、
 数分で偽装の有無を判定できるのが特徴です。
どちらのソフトも、USBをフォーマットする前にバックアップを取ることを忘れずに行ってください。
フォーマットしても直らない理由
容量詐称USBの仕組みは「ファームウェア(内部チップの制御情報)」の書き換えです。
 このため、ユーザー側でフォーマットしても、容量偽装自体は消えません。
フォーマットできるのはファイルシステム(FAT32/exFAT/NTFSなど)だけで、
 チップが認識する“物理的なアドレス構造”には影響しないからです。
つまり、何度フォーマットしても結果は同じで、
 一定容量を超えた時点でデータ破損が再発します。
不良品か偽物かを見分けるポイント
① 値段
一般的に、256GB以上のUSBメモリが1,000円以下で売られている場合、
 ほぼ確実に偽物です。
 正規メーカー(SanDisk、Kingston、Samsung、Transcendなど)の256GBモデルは、
 2025年現在でも最低3,000円前後が相場です。
② 販売元
Amazonや楽天でも、マーケットプレイス(第三者出品)の製品は注意が必要です。
 「販売元:Amazon.co.jp」または「メーカー公式ストア」でないものは、
 偽物が混入していることがあります。
③ 表示が曖昧な容量
「258GB」「1000GB」「980GB」など、
 中途半端な数字や1TBちょうどのような表記をしているUSBは偽装品の特徴です。
 本物のメーカーは、国際規格に合わせた容量(64GB、128GB、256GB、512GBなど)しか製造しません。
今後の安全な対処法
(1) 購入元に返品・返金を申請する
もし購入がAmazonやフリマアプリなどであれば、
 **「容量詐称の疑い」または「不良品として動作不良を確認した」**と伝えて返品・返金を申請しましょう。
H2testwの結果を添付すれば、ほとんどの販売サイトで返金対応が通ります。
 (特にAmazonの場合、「不良品」であればチャットで即対応してくれることが多いです。)
(2) データ保存用途には絶対に使わない
容量偽装USBは、見かけ上データが入っていても実際には保存されていない可能性があるため、
 写真・動画・仕事のファイルなど重要なデータを入れてはいけません。
 使うとしても一時的なデータ移動用程度にとどめ、
 バックアップは必ず別の信頼できるメディアで取ってください。
(3) 今後は信頼できるメーカー製品を選ぶ
安全性を重視するなら、以下のブランドがおすすめです。
- SanDisk(サンディスク)
 - Kingston(キングストン)
 - Samsung(サムスン)
 - Transcend(トランセンド)
 - バッファロー/エレコム(国内販売向け)
 
正規品であれば、書き込みが遅いことはあっても、
 途中でファイルが壊れたり削除不能になることは基本的にありません。
まとめ:繰り返すトラブルは“故障”ではなく“偽物”のサイン
あなたのUSBが「残り半分でデータ破損」「削除不能」「フォーマットで一時的に回復」という症状を繰り返す場合、
 それはメモリチップ自体の容量が偽装されている可能性がほぼ確実です。
フォーマットを何度繰り返しても改善はせず、
 今後も同じ部分でエラーが発生するでしょう。
つまり「不良品」というよりも、「最初から正しく作られていない偽物」です。
安全な選択肢は、
- 検証ツールで実容量を確認する
 - 販売元に返品・返金を依頼する
 - 今後は信頼できるメーカー品を購入する
 
という3ステップだけ。
258GBという曖昧な容量や格安価格のUSBは、どうしても危険が伴います。
 これを機に、「価格より信頼性」を基準に選ぶことで、
 大切なデータを守る最善の対策になるはずです。