
光回線の事業者変更をしたあと、急にインターネットが繋がらなくなった──。
 画面には「ブロードバンド接続に接続できません。モデムからエラーが返されました(エラー651)」と表示され、
 ルーターのACTIVEランプはゆっくり緑点滅、Wi-Fiも使えない……。
「ルーターを初期化しても直らない」「ケーブルもちゃんと刺さってる」「モデムのランプは正常」
 そんなとき、どこに原因があるのか全くわからず、途方に暮れてしまう人が少なくありません。
しかしこのエラー、実は物理的な断線や故障ではなく、“事業者変更による接続情報の不一致”がほぼ原因です。
 つまり、線をいくら抜き差ししても解決しません。
 この記事では、事業者変更後に起こるエラー651の原因をしくみから説明し、
 正しい設定方法と復旧手順を中学生でもわかる言葉で丁寧に解説します。
- まず押さえておくべき「エラー651」とは
 - 事業者変更で“何が変わる”のか
 - ACTIVEランプの点滅パターンでわかること
 - よくある誤解:「回線は変わっていない」と言われた=設定不要?
 - 接続を復旧させるための具体的な手順
 - 最後の確認ポイント
 - まとめ
 
まず押さえておくべき「エラー651」とは
Windowsの「ブロードバンド接続エラー651」は、
 「モデムやルーターまでは信号が届いているが、その先のプロバイダ認証が通らなかった」ことを意味します。
たとえば、
- ケーブルを抜いても反応がある(=物理的には繋がっている)
 - でもIDや通信方式が違うので、サーバー側で拒否される
 
という状態です。
この「モデムからエラーが返された」という言葉に惑わされがちですが、
 モデムが壊れているわけではありません。
 モデム(正確にはONUやVDSL装置)はあくまで“光信号を電気信号に変換する箱”であり、
 問題はその先のルーター設定(または認証情報)にあります。
事業者変更で“何が変わる”のか
「回線は同じNTTのフレッツ光なのに、なんで繋がらなくなるの?」
 ――これは多くの人が勘違いするポイントです。
光コラボの「事業者変更(転用)」では、
 物理的な光回線(NTTの設備)はそのまま使われますが、
 インターネットの“出口(プロバイダ)”が変わります。
つまり、
- 新しいプロバイダ専用の接続IDとパスワード(PPPoE情報)が必要
 - もしくは、IPv6(v6プラスなど)の接続方式そのものが変わる
 
この2点のどちらかが原因で、ルーターの設定が旧プロバイダのままになっていると、
 接続エラー651が発生します。
ACTIVEランプの点滅パターンでわかること
多くのルーター(NEC AtermやBUFFALO製など)では、
 「ACTIVE」ランプの点灯状態が通信の状況を示しています。
| 
 ランプ状態  | 
 意味  | 
| 
 点灯(緑)  | 
 インターネットに接続済み  | 
| 
 ゆっくり点滅  | 
 認証中(ID・パスワード確認中)  | 
| 
 早い点滅  | 
 データ通信中(正常)  | 
| 
 消灯  | 
 モデムと通信できていない/回線断  | 
今回のようにゆっくり緑点滅している場合、
 「モデムとの通信はできているが、プロバイダ認証が通っていない」状態です。
 つまり、“最後の鍵(ID・パスワード、または接続方式)”が合っていません。
よくある誤解:「回線は変わっていない」と言われた=設定不要?
販売店やサポートから「回線は同じなのでそのまま使えます」と説明を受けた人が多いのですが、
 この言葉は正確ではありません。
物理回線(光ファイバー)は同じでも、通信方式や認証情報は別物。
 とくに、
- 旧プロバイダ=IPv4(PPPoE)
 - 新プロバイダ=IPv6 IPoE(v6プラス)
のように変わっている場合、
ルーターが古い接続設定を維持している限り、どれだけ再起動しても繋がらないのです。 
接続を復旧させるための具体的な手順
ここからは、実際にネットを再び繋ぐための具体的な作業手順を順に説明します。
 手順を焦らず進めれば、ほとんどのケースで自力復旧が可能です。
(1) 新しいプロバイダの「接続ID」と「パスワード」を確認する
事業者変更後は、必ず新しい認証情報が発行されています。
 それはプロバイダから届いた
- 「ご利用開始のご案内」
 - 「インターネット接続設定情報」
 - またはメール(件名に“ログイン情報”や“お客様ID”とある)
 
のいずれかに記載されています。
記載例:
- 接続ID(ユーザー名):abcd1234@○○○.ne.jp
 - 接続パスワード:英数字混在の8~12桁
 
この2つを間違えると、エラー651のままになります。
 旧プロバイダのID(たとえば「@plala.or.jp」や「@nifty.com」など)が残っている場合は削除してください。
(2) ルーターに新しいID/パスワードを再設定
ルーターの設定画面に入って、接続情報を上書きします。
- PCやスマホをルーターのLANまたはWi-Fiに接続。
 - ブラウザで「http://192.168.1.1」または「http://192.168.11.1」を開く。
 - ログイン画面でユーザー名とパスワード(本体裏面に記載)を入力。
 - 「インターネット設定」→「接続先設定」を開く。
 - 接続方式を「PPPoE接続」にして、
→ 新しい接続IDとパスワードを入力。 - 保存 → ルーターを再起動。
 
再起動後、ACTIVEランプが点灯または早い点滅になれば接続成功です。
(3) IPv6(v6プラス)契約なら「PPPoE設定を削除」
最近の事業者変更では、旧プロバイダのIPv4接続から**IPv6(IPoE/v6プラス)**方式に自動移行されているケースが多いです。
 この場合、逆に「PPPoE設定を入れると繋がらなくなる」ので注意してください。
IPv6の場合の設定手順は以下の通りです。
- ルーター設定画面 →「接続方式」を「自動判別」または「IPv6(IPoE)」に変更。
 - 既存のPPPoE設定を削除または無効化。
 - 保存して再起動。
 
IPv6 IPoEはIDやパスワードを使わず、自動認証で接続します。
 これが正しく動作すれば、ACTIVEランプが緑点灯し、エラー651は消えます。
(4) モデムとルーターの完全リセット
設定を直したのに繋がらない場合、通信装置が前の情報を保持している可能性があります。
- 光回線終端装置(ONU/VDSL)とルーターの電源を両方抜く。
 - 60秒以上待つ。
 - まずONUを起動(全ランプが点灯するまで待機)。
 - 次にルーターの電源を入れる。
 - 3~5分待ってACTIVEランプを確認。
 
この順番でリセットすると、回線と認証サーバーの再同期が行われ、
 「モデムからエラーが返されました」が解消する場合が多いです。
(5) プロバイダに開通確認を依頼する
すべての設定を試しても繋がらないときは、プロバイダ側の開通処理が完了していない可能性があります。
サポートに電話したら、こう伝えてください。
「事業者変更後からエラー651が出ています。
 ルーターのACTIVEランプが点滅のままです。
 接続IDは新しいものを設定しています。
 回線認証が通っているか確認していただけますか?」
この一文で、担当者が遠隔で認証サーバーを確認してくれます。
 状況によっては、再登録(MACアドレス再紐づけ)を行ってもらう必要があります。
最後の確認ポイント
- プロバイダ変更当日から数時間〜24時間は、認証サーバー切替のタイムラグが起こることがあります。
 - その間はエラー651が出続けても自然復旧する場合もあります。
 - ただし、48時間以上経過しても変わらない場合は、設定またはプロバイダ処理の問題と判断できます。
 
まとめ
- エラー651=モデムや回線が壊れたのではなく、認証が通っていないサイン。
 - 事業者変更後は新しい接続ID/パスワードを設定し直す必要がある。
 - IPv6(v6プラス)契約の場合は、PPPoE設定を削除し「自動接続」に切り替える。
 - ACTIVEランプの点滅は“認証待ち”、点灯が“接続完了”の合図。
 - それでも繋がらなければ、プロバイダの開通処理確認を依頼する。
 
このエラーは「回線ではなく設定のズレ」で起こる典型的な例です。
 焦らず、新しい契約書を手元に確認しながら設定をやり直せば、
 大半のケースはその日のうちに復旧します。