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【PCが突然落ちる】ゲーム中に発生する「Kernel-Power 41」エラーの原因と対処法まとめ(RTX 5070 Ti搭載) 2025年11月1日公開


はじめに

「ゲームをしていると、突然PCの電源が落ちる」
この現象、心臓に悪いですよね。

しかもブルースクリーン(青いエラー画面)は出ず、いきなり電源が切れて再起動する――。
そしてイベントビューアーには毎回「Kernel-Power(イベントID 41)」とだけ記録されている。

これはゲーミングPCユーザーの間でよくあるトラブルですが、原因の特定が非常に難しいのが特徴です。
あなたのように、GPUドライバをDDUでクリーンインストールし、ケーブルや温度管理も完璧にしているのに直らない場合、ソフトウェアよりもハードウェア側を疑う必要が出てきます。

この記事では、
・なぜKernel-Power 41が出るのか?
・RTX 5070 TiやCore i7-14700F環境で起こりやすい原因は何か?
・そして実際に何を確認すべきか?

を、順序立てて分かりやすく解説していきます。

現在の症状の整理

あなたの報告をもとに、現状をまとめると以下の通りです。

  • 使用PC構成:
     GPU:RTX 5070 Ti
     CPU:Core i7-14700F
     購入時期:2025年6月(まだ半年未満)

  • OS:Windows 11

  • 発生状況:
     ・APEX、Once Human、タルコフ(Escape from Tarkov)などをプレイ中に、およそ1時間ほどで突然電源が落ちる
     ・ブルースクリーンは出ず、電源がプツッと切れる感覚で再起動
     ・発生頻度は「毎回ではない」

  • イベントビューアーのエラー内容:
     Kernel-Power(イベントID 41)

  • 試した対策:
     1. DDUを使って古いドライバを削除
     2. NVIDIA公式の最新Game Readyドライバをクリーンインストール
     3. Windows再起動後、正常動作を確認
     4. ゲーム設定を低〜中負荷にしても症状が再現
     5. DistributedCOM・Kernel-Power 41が繰り返し発生
     6. GPU温度:最大約70℃(問題なし)
     7. 内部清掃・ケーブル緩みチェック済み
     8. 延長コード不使用

ここまでやっても改善しない場合、電源供給系統(PSU・マザーボード・コンセント)、またはハードウェアの一時的な電圧不安定が原因である可能性が非常に高いです。

「Kernel-Power 41」とは何か?

Windowsの「イベントID 41(Kernel-Power)」とは、

「システムが正常にシャットダウンされる前に電源が切れた」

という意味です。

つまり、Windowsは「なぜ落ちたか」までは把握していないのです。
電源そのものが突然落ちたため、エラーの記録を残す前にシステムが停止しています。

このエラーは、

  • 電源ユニット(PSU)の不安定

  • マザーボードの電源管理不具合

  • 過剰な電流(ピーク電力超過)

  • メモリ・CPUの不安定動作

  • BIOSやチップセットの不具合
    など、**ハードウェア的な“瞬間断電”**で起きることが多いです。

よくある誤解:「温度が正常=電源は大丈夫」ではない

あなたのGPU温度は70℃前後で安定しており、確かに熱暴走の典型的な症状ではありません。
しかし、Kernel-Powerエラーの多くは、温度ではなく瞬間的な電流変動で発生します。

例:
RTX 5070 Tiは、フレームレート制限を外した状態で急に高負荷になると、一瞬だけ300Wを超えるスパイク電力を要求することがあります。
電源ユニットの容量や12Vレーンの出力がギリギリだと、この瞬間に保護回路が働き「電源が落ちた」と誤検知することがあります。

つまり、見た目は正常でも、電源供給の余裕が不足しているだけで落ちることがあるのです。

RTX 5070 Ti+i7-14700F構成で起きやすい原因

この組み合わせでは、次の3つが特に要注意ポイントです。

1. 電源ユニットの容量不足または劣化

高性能CPU+ハイエンドGPU構成では、**最低でも750W(できれば80PLUS Gold以上)**が推奨です。
安価な600Wクラス電源を使っている場合、ピーク負荷時に落ちるリスクが非常に高いです。

2. マザーボードの電源回路の初期不良

Z790/B760などの一部マザーボードでは、BIOS初期設定で「CPU電圧リミット(PL1/PL2)」が高く設定されすぎている場合があり、電源ユニットが瞬間的に過負荷を受けて再起動することがあります。

3. メモリの相性・XMP設定の不安定化

メモリOC(XMP/EXPO)を有効にしている場合、電圧設定のわずかなズレで長時間動作中にシステムが落ちるケースがあります。

いま考えられる方向性

ここまでの情報から、ソフト的な問題はほぼ除外できます。
つまり、次のどれかを重点的に確認すれば、解決に近づくはずです。

  1. 電源ユニットの品質・容量・接続状態

  2. マザーボードのBIOS設定(電圧や省電力制御)

  3. メモリ(XMP無効化での動作確認)

  4. システムログ以外の「ハードウェア監視」

突然落ちるPCを安定させるための具体的な対処手順(順番つき)

ここからは、あなたの構成(RTX 5070 Ti + Core i7-14700F)を前提に、
「Kernel-Power 41」エラーを止めるための現実的なステップを紹介します。
どれも安全な方法なので、焦らず一つずつ確認していきましょう。

(1) 電源ユニット(PSU)のチェック

  1. 定格出力を確認
     ラベルや購入ページを見て、定格 750 W 以上(推奨 850 W)あるか確認。
     RTX 5070 Ti + i7-14700F 構成では、実測で500 W前後消費するため、
     600 Wクラスでは突発的なスパイクを吸収できません。

  2. ケーブル接続の確認
     ・GPUに8 pin×2(または12VHPWR)を別々のケーブルで挿す。
     ・1本の分岐ケーブルで2口を取ると電流が集中して落ちやすい。
     ・ATX24 pin、CPU補助8 pinも奥までしっかり差し込み直す。

  3. 別の電源で動作テスト
     もし予備や友人の電源があれば一度差し替えてみてください。
     それで安定するなら、PSUの容量不足または保護回路の誤作動が原因です。

(2) BIOSの更新と設定見直し

  1. BIOSアップデート
     マザーボードメーカーの公式サイトから最新版をダウンロード。
     更新により、電源制御やCPUマイクロコードの不具合が修正されることがあります。

  2. CPU電力リミットを標準化
     BIOS内の 「CPU Power Limits (PL1/PL2)」 をAutoまたは定格値に戻す。
     過剰な自動OC設定(例:Enhanced Turbo)が有効だと、
     瞬間電力が400 Wを超えて電源が落ちることがあります。

  3. メモリのXMP/EXPOを一時的にOFF
     XMPを無効にして定格 DDR5-5600 や DDR4-3200 で動かし、安定するか確認。
     メモリ電圧の微妙な不安定が1 時間後の落ちに繋がることがあります。

(3) Windows側の電源設定を調整

  1. 「電源オプション」→「電源プランの編集」→「詳細設定」→
     プロセッサの最大の状態:99 % に設定。
     これでTurbo Boostを抑えてCPU電流のスパイクを防ぎます。

  2. 「高速スタートアップを無効化」
     コントロールパネル → 電源オプション → 電源ボタンの動作 →
     「高速スタートアップを有効にする」のチェックを外す。

  3. 「スリープ復帰後にクラッシュ」する場合はスリープを完全にオフに。

(4) ハードウェア温度と電圧の詳細モニタリング

ツール:HWiNFO64OCCT を使用。

チェック項目:

  • +12 V、+5 V、+3.3 V の電圧が負荷時も ±5 % 以内に収まっているか。

  • GPU Power Draw が300 W近くに達した瞬間に電圧ドロップが起きていないか。

  • CPU Package Power が250 W超の瞬間に電圧低下がないか。

もし12 Vが 11.4 V 未満まで落ち込むようなら、電源交換を検討すべきです。

(5) ストレステストで再現確認

  1. CPUテスト:Cinebench R23 / OCCT CPU

  2. GPUテスト:3DMark Time Spy Stress Test / FurMark(短時間)

  3. 同時負荷テスト:OCCT Power Test(10 分)

どの段階で電源が落ちるかで、原因パーツが特定できます。

  • CPUテストで落ちる → マザーボード/電源のCPUライン

  • GPUテストで落ちる → GPU補助電源またはPSU容量不足

  • 同時テストでのみ落ちる → PSU全体の余裕不足

(6) システムファイルとSSDの健全性確認

  1. コマンドプロンプト(管理者)で
     sfc /scannow を実行(Windowsシステムの破損修復)

  2. chkdsk /f でドライブエラー確認

  3. SSDのファームウェア更新(メーカー公式ツール)

ストレージエラーでも稀にKernel-Powerが出るため、一応チェックしておきましょう。

(7) どうしても改善しない場合

  • 購入店またはメーカー保証を利用
     まだ購入から半年未満なので、ハードウェア初期不良の可能性があります。
     「ゲーム中に突然電源が落ちる/イベントID 41」と伝えれば通じます。

  • 修理前に記録を残す
     イベントビューアーの「カスタムビュー → 管理イベント」で
     Kernel-Powerの発生時刻をスクリーンショットしておくと説明がスムーズです。

まとめ

Kernel-Power 41は「電源が想定外に遮断された」ことを示す警告であり、原因はほぼハードウェア側。
あなたの構成で多い順に挙げると:

  1. PSUの容量・品質不足

  2. BIOS設定(CPU/メモリの電圧過多)

  3. 電源ケーブルやコネクタの接触不良

最後に

この症状は「壊れている」というより、高性能パーツゆえに電源設計の余裕が少し足りないことが多いです。
750 W以上・80 PLUS Gold 以上の電源に交換し、BIOSを最新化するだけで直る例が非常に多く報告されています。

安全第一で少しずつ試しながら、安定したゲーミング環境を取り戻してください。