
最近、「大和証券」を名乗る不審なメールが全国で急増しています。
 件名は「【大和証券】配当金が入金されました」や「口座情報のご確認」など、一見すると公式からの通知のように見える巧妙な内容です。
 あなたのもとに届いたメールも、送信元が hankyu-tabimag@hei.hankyu.co.jp というアドレス。
 この時点で違和感を覚えたのは、非常に鋭いです。
結論から言うと、そのメールは本物ではなく、フィッシング詐欺(偽装メール)である可能性が極めて高いです。
 これまでに届いたことがない形式であること、本文内のリンクをクリックさせる構成であること、そして送信元ドメインが大和証券のものではないこと――これらが決定的な要素です。
- なぜ「大和証券」を装う詐欺メールが急増しているのか
 - 送信元「hankyu-tabimag@hei.hankyu.co.jp」が偽物と断定できる理由
 - 本物の大和証券メールとの決定的な違い
 - 詐欺メールの狙い:IDとパスワードの“釣り出し”
 - 不審メールを開いてしまった・リンクを押してしまった場合の対処法
 - 大和証券が公式に出している注意喚起
 - フィッシング詐欺メールを報告する方法
 - 公式メールとの見分け方:ここだけ見れば判断できる
 - まとめ:そのメールは「非常に巧妙な偽物」—クリックしないが最善の防御
 
なぜ「大和証券」を装う詐欺メールが急増しているのか
まず、この手のメールは2024年後半から2025年にかけて急増しており、特に証券会社を装ったフィッシングが狙われています。
 攻撃者が選ぶターゲットには理由があります。
 「投資・証券系メール=お金に関する通知」であるため、ユーザーが**“ついクリックしてしまう心理”**を突けるからです。
「配当金が入金されました」という文面は、利用者が最も反応しやすい“喜び系通知”で、
 その下に自然に「ログインはこちら」と書いてあることで、疑いなく偽サイトに誘導できる構造になっています。
本物の証券会社メールよりもむしろ完成度が高く見えるようにデザインされており、本文の日本語も極めて自然。
 これこそが、近年のAI生成型フィッシングメールの恐ろしい点です。
送信元「hankyu-tabimag@hei.hankyu.co.jp」が偽物と断定できる理由
大和証券の公式ドメインは以下の通りです。
- @daiwa.co.jp
 - @mail.daiwa.co.jp
 - @daiwa.jp
 
これ以外のドメイン(特に他社のドメイン)から大和証券が顧客情報を送ることは絶対にありません。
一方、あなたのメールは「hankyu(阪急)」という全く関係のない企業ドメインを使っています。
 hankyu.co.jpは阪急阪神ホールディングス系列の正式ドメインであり、大和証券とは資本関係もメール共有も一切ありません。
 つまり、このメールは「送信元アドレスを偽装」して作られたフィッシングです。
攻撃者は、正規企業のメールサーバー名や似たドメインを騙って送信することで、受信者の警戒心を下げようとします。
 OutlookやiPhoneメールなど多くのメーラーでは、アドレス全体を確認しない限り、「大和証券」など差出人名だけが大きく表示されてしまうため、騙されやすいのです。
本物の大和証券メールとの決定的な違い
本物の大和証券メールでは、次のような特徴があります。
・送信元が必ず「@daiwa.co.jp」系ドメインである
 ・本文に記載されるリンクは「https://www.daiwa.jp/」「https://www.daiwa.co.jp/」から始まる
 ・「マイページ」「お知らせ」などへ誘導する場合、必ずマイ大和のログイン経由で確認を求める
 ・メール文中に個人情報の入力を直接求めない
あなたに届いたメールは、これらといずれも一致しません。
 リンク先のURLを(クリックせず長押しなどで)確認すると、おそらく「daiwa-secure.com」「daiwa-login.net」「daiwa-jp.com」など、似ているが別物のドメインが表示されるはずです。
 これは典型的な偽装ドメインのパターンです。
詐欺メールの狙い:IDとパスワードの“釣り出し”
こうした偽メールの目的は非常に単純です。
 「ログインして配当金を確認してください」という文面で、大和証券のログインID・パスワードを入力させること。
 入力された情報は攻撃者のサーバーに送信され、そのまま本物の大和証券サイトへの不正アクセスに使われます。
一度ログイン情報を奪われると、保有資産の確認、個人情報、メールアドレスまですべてが盗まれる恐れがあります。
 しかも最近の偽サイトはSSL(鍵マーク付き)で暗号化されているため、見た目上は安全に見えるのも厄介です。
不審メールを開いてしまった・リンクを押してしまった場合の対処法
もし、すでにこのメールを開いてしまったり、本文内のリンクをタップ・クリックしてしまった場合でも、落ち着いて行動すれば大丈夫です。
 被害を防ぐために、以下の手順を順番に進めてください。
① リンクを開いただけで「何も入力していない」場合
→ この段階ではまだ被害は発生していません。
 リンクを開いても、IDやパスワード、個人情報を入力しなければ、データは送信されていません。
 ただし、念のため以下を実施してください。
(1) ブラウザの履歴・キャッシュを削除
 (2) セキュリティソフト(Windows Defenderなど)でフルスキャン
 (3) スマホの場合は「設定」→「Safari/Chrome」→「履歴とデータを消去」
これで、フィッシングサイトで読み込まれたスクリプトやCookieをリセットできます。
② ログインID・パスワードを入力してしまった場合
→ すぐにパスワード変更と公式連絡を!
(1) 本物の大和証券サイト(https://www.daiwa.jp/)に直接アクセスし、ログイン。
 (2) 「お客様情報」→「パスワード変更」から新しいパスワードに更新。
 (3) 不正ログインがないか「取引履歴」「ログイン履歴」を確認。
 (4) 念のため、**大和証券コンタクトセンター(0120-010101)**へ連絡。
  「フィッシングメールでIDを入力してしまった」と伝えると、口座ロックや確認対応をしてくれます。
もしパスワードと同じものを他のサービス(楽天、Amazonなど)でも使っていた場合は、そちらも同時に変更してください。
③ クレジットカード情報・住所・電話番号などを入力した場合
→ カード会社にも必ず連絡を。
 カード番号が盗まれた可能性があります。カード裏面に記載のサポートデスクへ「偽サイトで番号を入力した」と報告し、再発行を依頼しましょう。
 この時点で気づけば、被害が発生する前に止められるケースがほとんどです。
大和証券が公式に出している注意喚起
大和証券の公式サイトでは、以下のようなフィッシング注意文が出ています(2025年現在も継続中)。
「大和証券を装ったメール・SMSが発信されております。
 当社では、メールやSMSによりお客様のIDやパスワードを入力いただくようお願いすることはございません。」
出典:https://www.daiwa.jp/contact/caution/phishing.html
つまり、「ログインはこちら」というリンク付きのメールが届いた時点ですべて偽物確定です。
 また、公式が送る通知は、「マイページ上にお知らせを表示」する形式が基本で、メールは“閲覧の案内”のみです。
フィッシング詐欺メールを報告する方法
不審メールを放置せず報告することで、他のユーザーの被害防止にもつながります。
- 大和証券専用の報告窓口: phishing@daiwa.co.jp
 - フィッシング対策協議会の報告フォーム: https://www.antiphishing.jp/report/
 
本文をそのまま転送するか、受信日時と送信元アドレスを記載して送信すればOKです。
 送信後は、該当メールを完全削除しておきましょう。
公式メールとの見分け方:ここだけ見れば判断できる
① 送信元ドメイン
  → 「@daiwa.co.jp」以外はすべて偽物。
 ② 本文中のリンク
  → 「https://www.daiwa.jp/」以外で始まるURLは危険。
 ③ 文面のトーン
  → 本物は「ログインはこちら」ではなく「マイページよりご確認ください」と書かれています。
 ④ マイページ通知との一致
  → マイ大和の公式サイトで同じ通知が出ていなければ、99%偽物。
まとめ:そのメールは「非常に巧妙な偽物」—クリックしないが最善の防御
今回の「【大和証券】配当金が入金されました」メールは、送信元が異常、文面がフィッシング型の典型、公式通知が存在しないという三拍子揃った詐欺メールです。
 本物に見せかけた「noreply」「配当金」「確認はこちら」というワードは、詐欺業者が狙って使う心理トリガーです。
最も安全な対応は、メール内のリンクを一切開かず、公式アプリまたはブックマークからアクセスして確認すること。
 たとえメールが完璧に見えても、「一瞬でも疑ったあなたの感覚が正解」です。
「ちょっと怪しいかも」と思った瞬間に確認を止める――
 それが、今の時代で一番確実なセキュリティ対策です。