2025年4月23日未明、OpenAIが提供する対話型AIサービス「ChatGPT」がイギリス国内で一時的に利用できない障害が発生しました。本記事では、発生から復旧までの経緯を時系列で詳しく解説し、影響を受けたユーザーや企業が取るべき対応策をまとめます。
- 2025年4月23日 0:08:障害発生の兆候
- 2025年4月23日 0:11:ユーザーに見られた画面表示
- 2025年4月23日 0:13:障害は英国限定であることの確認
- 2025年4月23日 0:18:OpenAIが問題を認識
- 2025年4月23日 0:21:アプリ版の動作状況
- 2025年4月23日 0:24:緩和策の兆候
- 2025年4月23日 0:28:サービス復旧
- 今後の影響と対策
- まとめ
2025年4月23日 0:08:障害発生の兆候
イギリス国内向けのChatGPTで多数の接続エラーが確認され、障害の第一報が上がりました。
最初の報告はDowndetector※というリアルタイム障害監視サイトでわずか数件でしたが、数分間で報告数が50件以上に急増しました。ユーザーは「Error in message stream」や「Connection lost」などのエラーメッセージを掲示板やSNSで共有し、現地時間の23日午前0時を境に異常値が顕著になりました。サービスの停止時間は短時間と見られましたが、多くの企業がChatGPTを業務ツールとして導入しているため、瞬時の混乱を招きました。
2025年4月23日 0:11:ユーザーに見られた画面表示
ユーザーの多くが「Error in message stream」と表示され、途中までしか回答が得られない状態に直面しました。
スクリーンショットには、質問文に対する応答が半分だけ表示されたあと、入力欄が固まる様子が記録されていました。再読み込みやログアウト・ログインの試行が繰り返されたものの、同様のエラーが続発し、一部のユーザーはキャッシュクリアや別ブラウザへの切り替えも試みました。こうした対処でも完全復旧に至らず、影響はユーザーの操作環境を問わず広がりました。
2025年4月23日 0:13:障害は英国限定であることの確認
複数の国のメンバーによる独自テストで、問題はイギリス国内ユーザーのみであることが確認されました。
Tom’s GuideやTechCrunchの欧州担当編集者が米国やアジア地域で同時テストを行った結果、他地域では正常に会話が続行できることが判明しました。PingテストやTracerouteなどネットワーク診断ツールを用いた追跡でも、イギリス向けのサーバー群にのみ異常なレスポンスタイムやタイムアウトが発生していました。こうしてイギリス限定の問題と断定され、グローバルな誤情報の拡散が抑制されました。
2025年4月23日 0:18:OpenAIが問題を認識
OpenAIのステータスページが更新され、「ChatGPT会話でエラーが増加している」と公式認証しました。
ステータスページには「We have identified that users are experiencing elevated errors for ChatGPT conversations」と明記され、障害原因の特定と緩和策の実施に着手していることが記されました。技術チームはAPIのトークン検証エラーや接続プールの過負荷を疑い、ログ解析とサーバー設定の再構成を並行して行っていると説明しています。公式の認識表明により、ユーザー側の不安は若干和らぎました。
2025年4月23日 0:21:アプリ版の動作状況
スマートフォン向けのChatGPTアプリは一部正常に動作し、代替手段として注目されました。
iOSおよびAndroid版の公式アプリでは、デスクトップ版と比べてエラー率が低く、会話が継続できたという報告が散見されました。これはアプリ版が別リージョンのロードバランサーを経由しているためと推測され、利用者は急場しのぎとしてモバイルアプリへの切り替えを検討しました。ただし、キーボード入力の快適性や画面サイズの制約から、業務利用のメインツールにはなり得ず、完全復旧までの一時的な対策となりました。
2025年4月23日 0:24:緩和策の兆候
OpenAIが実装した緩和策が功を奏し、エラー報告数の急激な減少が観測されました。
Downdetectorのグラフでは12時24分頃から報告のピークが下降し始め、過負荷状態だったサーバー群への負荷分散やリクエストレートの調整が奏功したと見られます。開発者コミュニティのフォーラムでも「region-based routing adjustment」という記述が散見され、技術的にはリージョン間のトラフィック再割り当てが行われた可能性が高いと考えられます。利用者は再接続を試行し、緩やかに復旧が実感される段階となりました。
2025年4月23日 0:28:サービス復旧
実質20分足らずでサービスは完全復旧し、イギリス国内ユーザーはChatGPTを再び利用できるようになりました。
OpenAIは12時28分にステータスページを「operational」に更新し、公式Twitterでも「現在は通常運転に戻りました」と発表しました。復旧後数分間、断続的に小規模な遅延が報告されましたが、おおむね問題は解消したと判断されています。有償プランユーザーにはメールで謝罪と補償案内が送付され、透明性と顧客対応の速さが評価されました。
今後の影響と対策
企業や個人は障害対応時に複数のアクセス手段をあらかじめ用意しておくことが重要です。
1. 公式ステータスページやSNSの情報をリアルタイムで監視する。
2. デスクトップ版だけでなく、スマートフォン版やAPIアクセスなど代替手段を確保する。
3. 障害発生時の社内マニュアルを整備し、迅速な対応手順を文書化する。
4. サービスレベルアグリーメント(SLA)を見直し、必要に応じてサポートプランをアップグレードする。
5. 定期的に障害シミュレーションを実施し、実際の発生時に備える。
6. 技術担当者は障害ログの取得方法や連携ツールの使い方を習熟しておく。
まとめ
短時間のうちに原因特定から緩和策の実施、完全復旧までを達成した迅速な対応が評価されます。
本件から得られる教訓は、障害発生時における透明性のある情報発信と多様なアクセス経路の確保です。今後も企業や個人は、同様のインシデントに備えた体制を整え、AIサービスの安定運用を目指すことが求められます。