エラー大全集

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Windows 11 エラー 0x8007042B‑0x2000D:SAFE_OSフェーズのMIGRATE_DATAで失敗した際の原因と対処


2025年7月31日公開

対象:Windows 11 Home/Single Language(OSビルド 26100.4770)を使用中で、設定画面が消失し、インプレースアップグレード(Repair Install)が失敗する事例に対応した技術ブログ記事です。特に、サンドボックス(Windows Sandbox)導入スクリプト実行後に異常が発生してアップグレードができないケースに悩むユーザー向けです。

事象の把握と原因の特定

🔴 発生日時と環境

2025年7月31日に発生した事象で、環境はWindows 11 HomeまたはSingle Language(OSビルド26100.4770)です。このOSにサンドボックス機能を追加する目的で、スクリプトを自作して実行、結果として「Windows Update」「回復」「リセット」などのシステム設定が消失しました。Microsoft Learn+1Microsoft Learn+1

🔴 エラーコードと失敗フェーズ

インプレースアップグレード(Repair Install)では、メディア作成ツールまたはISOを使用してアップグレードを行いましたが、SAFE_OSフェーズのMIGRATE_DATA操作中に「エラー 0x8007042B‑0x2000D」で失敗しました。これは典型的なプロセス中断エラーで、Windowsセットアップが途中で異常終了したことを示します。YouTube+9Microsoft Learn+9Super User+9

🔴 推定原因:破損ファイルの存在

Microsoftの調査によれば、C:\ProgramData\Microsoft\Crypto\RSA\S-1-5-18\[CN] にある証明書ファイルが破損していると、読み込みエラー(Win32 0x570 = ERROR_FILE_CORRUPT)が発生し、マイグレーションに失敗するとされています。このケースでは、破損したシステム証明書ファイルが原因で、MIGRATE_DATA が中断された可能性があります。Microsoft Learn

🔴 推定原因:ユーザープロファイルやレジストリの異常

さらに、ユーザープロファイルの破損や、レジストリ操作による権限異常、バックグラウンドプロセスの干渉も、同様のエラーを誘発する要因として報告されています。実際、壊れたプロファイルが原因でアップグレードが失敗するケースも報告されています。Microsoft LearnMicrosoft Learn

🔴 他ユーザーの報告事例

Redditの投稿には「0x8007042B ‑ 0x2000D は SAFE_OS フェーズでの MIGRATE_DATA 失敗であり、アンチウイルスや不要プログラムが影響している可能性がある」との会話も見られます。Microsoft Learn+10Reddit+10Super User+10

修復インプレースアップグレードを成功させるための具体手順

⚠️ インプレースアップグレード前の準備

まずはシステムの状態をリセットして、セットアップ中のエラーを誘発しそうな要因をすべて取り除く作業から始めましょう。
現在、システムのレジストリやファイル構造に不整合が生じていると想定されるため、以下のステップで環境の健全性を取り戻します。

DISMとSFCの実行

スタートメニューから「コマンドプロンプト(管理者)」を起動し、以下の2つのコマンドを順に実行してください。

DISM /Online /Cleanup-Image /RestoreHealth
SFC /scannow

これにより、破損したシステムファイルの検出と修復が行われます。これらの作業には10〜30分ほどかかる場合があります。

クリーンブートの設定

常駐ソフトウェアやサードパーティ製アプリがアップグレードを妨げている場合もあるため、MSConfigツールを使って「クリーンブート」状態に設定します。手順は以下の通りです。

  1. 「Windowsキー + R」で「msconfig」と入力してEnter。

  2. [サービス]タブで「Microsoftのサービスをすべて隠す」にチェック。

  3. 残ったすべてのサービスのチェックを外す。

  4. [スタートアップ]タブからタスクマネージャーを開き、すべて無効にする。

  5. 再起動。

⚠️ 不良なレジストリ構造の修復

SandboxインストールスクリプトやRevo Uninstallerによって削除されたレジストリキーの一部が、現在のアップグレード失敗の直接的な原因となっている可能性もあります。
このような場合、「レジストリの初期化」や「新しいローカルアカウントの作成」で切り分けを行います。

新規ユーザーアカウントの作成

既存のユーザープロファイルに破損がある場合、それだけでMIGRATE_DATAフェーズが停止することがあります。

  1. 管理者権限でコマンドプロンプトを開きます。

  2. 以下のコマンドを実行して新規ユーザーを作成します。

net user TestUser Password123 /add
net localgroup administrators TestUser /add

  1. サインアウトし、新しく作成したユーザーでログインしてから、再度インプレースアップグレードを実行します。

⚠️ セットアップエラーのログ確認

エラーの根本原因を特定するには、セットアップログの確認が重要です。Microsoft公式が提供するsetuplogscollect.batというバッチファイルを使えば、自動でログファイル一式を取得できます。これはGitHubから入手可能で、ログ収集後は「SetupLogs.zip」がデスクトップに生成されます。

  1. GitHubからsetuplogscollect.batをダウンロード。

  2. ダウンロードしたファイルを右クリックして[プロパティ] → [ブロック解除] → OK。

  3. 管理者として実行。

  4. ログ収集完了後に生成されるZIPファイルを確認。

この中には、setuperr.logsetupact.logといったファイルが含まれており、特定のエラーコードの直前に失敗の要因が記録されています。

最終手段と継続利用のための回避策

🔴 カスタムインストールによる回避

ここまでの手順を踏んでも、エラー 0x8007042B-0x2000D によるインプレースアップグレードが成功しない場合、残された現実的な手段は**「カスタムインストール」**による修復です。これは通常のインストール手順と異なり、Windowsを再インストールしながら「既存のユーザーデータ(C:\Users以下)」を「Windows.old」フォルダに退避させる方法です。

実行手順の概要

  1. USBインストールメディアの作成:Media Creation ToolでWindows 11の最新イメージをUSBに作成します。

  2. PCをUSBから起動:BIOS/UEFI設定でUSBブートを有効にし、インストールを開始します。

  3. インストール場所の選択:カスタム(詳細)インストールを選び、「C:ドライブ(通常OSがある場所)」をフォーマットせずに選択します。

  4. インストール完了後:C:\Windows.old に元のユーザーデータが保存されているため、そこから手動でデータを戻します。

⚠️ この手順では、アプリケーションは維持されませんので、事前に必要なソフトのインストーラーとライセンス情報をバックアップしておくことが必要です。

🔴 レジストリの完全再構築

どうしてもシステム構成が破損している場合には、「Windows PE(プレインストール環境)」を用いて起動し、C:\Windows\System32\Config 以下のレジストリハイブを削除し、RegBackから再構築する方法もあります。

ただし、Windows 10以降のバージョンでは RegBack フォルダ自体が空のケースも多く、この手法が機能するかは環境次第です。よってこの方法は技術的に上級者向けであり、慎重な判断が求められます。

🔴 暗号化関連ファイルのリセット

Microsoftが示している「Crypto/RSAフォルダの破損」が原因でアップグレードが失敗する場合は、以下の手順により暗号鍵の一時退避とリビルドを試みます。

  1. 管理者権限でコマンドプロンプトを起動します。

  2. 以下のコマンドを実行:

bash

コピーする編集する

mkdir C:\RSA_Backup  

xcopy C:\ProgramData\Microsoft\Crypto\RSA C:\RSA_Backup /s /e /h  

del /s /q C:\ProgramData\Microsoft\Crypto\RSA\S-1-5-18  

 

これにより、破損している証明書鍵ファイルの影響を回避できます。ただし、特定のアプリケーションがこの操作で動作しなくなる可能性もあるため、元に戻すバックアップは必須です。

🔴 対応状況と今後の見通し

本件について、Microsoft公式では直接的なパッチ提供や自動修復のアップデート配信は行っていない状態です。インプレースアップグレード失敗の問題は、長年にわたって繰り返し報告されており、構成の複雑さや外部要因(セキュリティソフト、スクリプト、レジストリクリーナーなど)が絡むと特定が非常に困難となります。

現在の対応状況は「未解決/個別対応推奨」であり、できるだけ早期にユーザーデータのバックアップを取り、システム全体の初期化またはクリーンインストールによる抜本的な解決が推奨されます。

総括

エラー 0x8007042B-0x2000D の背後には、システムファイル破損・レジストリ不整合・ユーザープロファイルの異常・暗号鍵の破損といった、複合的な原因が潜んでいます。

🔴 重要なのは、症状が表面化する前に「何をしたか」を明確に振り返ることです。今回のように、非公式なスクリプト実行やレジストリクリーナーの使用後に異常が出た場合、それに起因するリカバリー困難な破損が発生していることを認識する必要があります。

可能な限り、システム構成を変える作業は、Windows標準機能か、公式にサポートされた手段のみを使うことを徹底してください。今後のトラブル回避に向けて、定期的なバックアップと復元ポイントの作成を習慣化することが、最も確実な対策です。