
Veeam BackupとMicrosoft 365の障害:EWS移行(2026年3月)でメールボックスのバックアップが失敗する理由
冒頭文
2026年3月後半のMicrosoftによるExchange Web Services(EWS)に関連するコード変更が、Veeam Backup for Microsoft 365を用いたメールボックスのバックアップに再び影響を与えています。本稿では問題の経緯、影響範囲、管理者がとるべき具体的な対処手順と今後の見通しを整理し、短期と中長期での現実的な対処方針を示します。VeeamとMicrosoft双方の公式情報やコミュニティ報告をもとに、実務で役立つ観点を中心にまとめます。BornCity+1
- 概要
- 何が起きたか(技術的背景)
- 影響範囲と被害の実態
- 重要な日付(参考)
- 管理者向けの具体的対処(短期〜中期)
- 実務上のチェックリスト(運用で確認しておくべき項目)
- 今後の見通しと推奨方針
- まとめ(管理者へのメッセージ)
概要
2025年11月に発生した「The HTTP request was forbidden with client authentication scheme 'Anonymous'」というエラーに端を発した一連の問題は、2026年3月下旬にMicrosoftが行ったExchange Online側のコード変更により再燃しました。影響は主にVeeam Backup for Microsoft 365がEWS経由でメールボックスをアクセスする場面で顕在化しており、一部のライセンス種別や共有メールボックスなどでバックアップ失敗が報告されています。Veeamは当該エラーについてKB記事を公開し、Root Causeと回避策を案内すると同時に、EWSからMicrosoft Graph APIへの移行計画を示しています。Veeam Software+1
何が起きたか(技術的背景)
Exchange Web Services(EWS)は長年にわたりサードパーティ製のバックアップや連携ツールがExchange Online上のメールボックスへアクセスするための主要APIでした。しかしMicrosoftはEWSの段階的廃止とGraph APIへの移行を公式に発表しており、2026年10月から段階的に無効化を開始、2027年4月までに完全シャットダウンするスケジュールを提示しています。これに伴い、2026年3月にMicrosoft側で行われた挙動変更(本文献では3月27日にコード変更が展開されたと報告)によって、従来EWSでアクセス可能だった一部のメールボックスやライセンスで接続が拒否される現象が発生しました。TECHCOMMUNITY.MICROSOFT.COM+1
影響範囲と被害の実態
影響はテナント内の特定のユーザー・共有・グループ型オブジェクトに集中しており、特定のMicrosoft 365ライセンス(例:F1/F3相当の簡易ライセンスやKioskタイプ)が影響を受けやすいとの報告が複数のユーザーコミュニティで上がっています。2025年11月の初報以降、Veeamコミュニティフォーラムには多数のケースが投稿され、数千件規模のメールボックスが影響を受けた事例も報告されています。Veeam側はKB記事(KB4796等)でエラーの説明と一時的な回避手順を示しましたが、根本対応はEWS依存からの移行に依存するため、短期の完全解消は難しい状況です。Veeam Community Forums+1
重要な日付(参考)
| 日付 | 事象 |
|---|---|
| 2025-11-25 | VeeamがKB4796を公開し、特定エラーの情報と対処を案内。Veeam Software |
| 2026-03-27(報告) | Microsoft側のコード変更が展開され、EWS経由アクセスに新たなエラーが発生。BornCity |
| 2026-10(開始) | MicrosoftがEWSの段階的無効化を開始(全組織対象)。Microsoft Learn |
| 2027-04-01 | EWSの完全シャットダウンが予定(Exchange Online)。mimecastsupport.zendesk.com |
管理者向けの具体的対処(短期〜中期)
本節では事実ベースで実行可能な対処を記載します。実施前に必ずバックアップと変更管理手順を用意してください。
短期(今すぐ確認すべき項目)
-
バックアップジョブのログを精査し、「The HTTP request was forbidden with client authentication scheme 'Anonymous'」などEWS関連のエラーを抽出する。該当するオブジェクト(ユーザー・共有・グループ)を特定することが最優先です。Veeam Software
-
影響を受けているメールボックスのライセンス種別を確認する。簡易ライセンス(F1/F3等)やKiosk等は制約を受ける可能性があり、必要に応じてライセンスの見直しやアップグレードを検討する。Veeam Community Forums+1
-
Veeamが提示するKBの回避手順(PowerShell操作やアプリ登録の再確認等)を順に試す。ただし大規模テナントでは一括変更の影響評価を行った上で実施すること。Veeam Software
中期(安定化に向けた対応)
-
Veeamの最新バージョンとパッチ適用状況を確認し、EWS非依存(Graph API対応)へ段階的に移行するためのロードマップを作成する。Veeamは製品側でGraph API移行を進めていると明示しているため、製品アップデートに合わせた計画が有効です。Veeam Software
-
テナント側でEWSEnabled等の管理者設定(EWSアクセスの許可/拒否)を確認し、必要に応じて一時的にEWSアクセスを維持する設定を検討する。ただしこれはMicrosoftの方針やセキュリティ要件と整合させる必要があります。Office 365 for IT Pros
-
重要なビジネスメールボックスに関しては、バックアップの二重化(例:別手法でのエクスポートやアイテムレベルのアーカイブ)を検討し、万が一のEWS停止に備えた冗長性を確保する。
実務上のチェックリスト(運用で確認しておくべき項目)
以下は運用で見落としがちなポイントを集約した短いチェックリストです。実行時は変更記録を残してください。
ライセンス種別の一覧、バックアップログ内でのエラー発生日時と対象、Veeam側のKB適用状況、テナント側のEWS設定状態、Graph APIを利用した将来設計の確認、の順で優先度を付けて確認すると効率的です。Veeam Community Forums+1
今後の見通しと推奨方針
MicrosoftによるEWSの段階的廃止は既に公式アナウンスされており、Exchange Onlineの現行スケジュールでは2026年10月から無効化が始まり、最終的には2027年4月に完全停止する予定です。サードパーティ製バックアップベンダーはGraph APIへの対応を進めているものの、移行完了までの期間はテナントごとに差が出ます。短期的にはKBに沿った回避策やライセンス見直しで被害を抑えつつ、中長期的にはGraph API対応済みの製品・バージョンへ移行する計画を立てることが最善です。Veeamは既にEWS依存機能のGraph API移行を明示しており、今後のアップデート情報を注視することが重要です。Microsoft Learn+1
まとめ(管理者へのメッセージ)
2026年3月のコード変更によってEWS依存のバックアップに再度影響が出ている現状は、短期的なログ解析とライセンス確認、Veeamが示すKBの回避手順適用で被害を限定することが可能です。一方で根本的な解決はEWSからMicrosoft Graph APIへの移行に依存するため、製品のアップデート計画と自テナントのEWS利用ポリシーを早急に見直す必要があります。運用担当者はログ監視と影響検知、重要メールボックスの優先バックアップ策を実装したうえで、VeeamとMicrosoft双方の公式アナウンスを定期的にチェックしてください。Veeam Software+2Veeam Software+2