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Win11の6月更新失敗と不具合の全貌


2025年6月に公開されたWindows 11の月例アップデート(KB5063060)を巡って、インストールに失敗する事例や深刻な不具合の報告が相次いでいます。

これは、同月初めに一時配信停止された先行アップデート(KB5060842)の不具合を修正する目的で公開されたパッチでしたが、かえって混乱を招く結果となっています。本記事では、問題の経緯と現時点で確認されている症状、対処法、今後の展望について、順を追って丁寧に解説していきます。

1. 6月アップデートの背景と再配信の経緯

2025年6月上旬、Windows 11 バージョン24H2向けに「KB5060842」が配信されました。しかしこの更新プログラムは、「Easy Anti-Cheat(EAC)」というゲーム用不正対策ツールと競合し、対象ソフトが起動しない・クラッシュするなどの不具合を引き起こすとして、すぐに配信停止となりました。

代替として、Microsoftは数日後に修正版の「KB5063060」をWindows Update経由で再配信しました。ところが、このパッチでも新たな問題が多数発生しており、ユーザーの混乱はむしろ拡大しているのです。

2. インストール失敗の多発:原因と現象

まず報告が多いのが「インストール失敗」です。主に次のような症状が確認されています。
・更新プログラムが「0x800f0922」などのエラーコードと共に失敗
・インストールが途中で停止したまま進まない
・複数回再起動後にようやくデスクトップに戻るも、更新が適用されていない

これらはMicrosoftのフィードバックHubやRedditなどのコミュニティでも多数報告されており、一部PCでは「ブートループ」に陥ったという深刻なケースもあります。

3. 更新後に発生している各種バグ

インストールに成功したとしても、システムに問題が生じるケースがあります。以下の不具合が主に確認されています。
・スリープ復帰時にタスクバーがフリーズする
・外部ディスプレイが正しく認識されなくなる
・Bluetooth機器が再起動ごとに未接続になる
・EAC対応ゲームが依然としてクラッシュ

特に「Star Citizen」や「eFootball25(旧PES)」などのゲームタイトルで、EAC関連のエラーが残っているとする報告が複数確認されています。

つまり修正されたはずの互換性問題が、まだ完全には解決していないということになります。

4. Microsoftの対応と混乱の構図

この混乱の背景には、2つのアップデートが短期間で連続配信されたことがあります。KB5060842を適用済みのPCが、KB5063060を重ねてインストールしようとする際に、内部的な競合が発生するという構造が指摘されています。

MicrosoftはKB5060842の配信を迅速に停止したと説明していますが、それまでに適用された一部のPCでは、レジストリやインストールフラグが衝突して、アップデート処理が正常に進まない可能性があります。

これにより「更新処理そのものが壊れてしまう」という、Windows Updateの根幹に関わる問題に直面しているのです。

5. 推奨される対処法とその限界

現時点で推奨されている対応策は次の2つです。
1. Microsoft公式サイトからKB5063060のスタンドアロン版(x64)をダウンロードして手動インストールする
2. 時間を置いて自動的な修正・再配信を待つ

ただし、手動インストールはある程度パソコンに詳しい方でなければ危険です。また、EAC関連の不具合が残っている場合、適用しても状況は改善しない恐れがあります。

一方で、「更新をアンインストールする」という手段は、セキュリティ更新も同時に削除されてしまうため非推奨です。

6. 一部機能の停止報告と業務への影響

一部の法人ユーザーからは、KB5063060適用後に業務用アプリケーションが動作しなくなったという声も上がっています。特に、外部モニターを常用している環境で、ウィンドウ位置の復元に失敗する・解像度が初期化されるといったトラブルが散見されています。

また、Bluetoothキーボードやマウスが毎回再認識されることで、起動直後の操作ができないという問題も、在宅勤務環境では深刻です。

こうした事例が重なることで、今回の更新は「軽微なパッチではない」と再評価されつつあります。

7. 今後の展望とユーザーが取るべき姿勢

Microsoftは今後の累積更新でこれらの問題を段階的に解消していく方針を示していますが、次回更新(2025年7月分)の信頼性が問われる状況となりました。

更新による機能追加(AI Copilot機能の拡張や検索UIの刷新など)は魅力的ではありますが、安定性とのトレードオフが大きな課題となっています。

当面は、業務用PCでは慎重に更新適用のタイミングを見極め、必要に応じて一時的に自動更新を停止する措置も検討すべきです。

また、MicrosoftアカウントでフィードバックHubに症状を投稿することが、今後の修正対応を早める手段にもなります。

2025年6月19日 日本