知人の体験談のあらすじ
私の知人は、VBAを使ってExcelファイル内のすべてのシートに対して何らかの処理を行うマクロを作成していました。具体的には、以下のようなコードを使用していました:
このコードによって、通常のワークシートに対しては期待通りの処理が実行されました。しかし、同じブック内に「モジュールシート」が含まれている場合、そのシートを処理しようとした時点でVBAがエラーを投げ、プログラムが停止してしまうという問題に直面しました。モジュールシートは通常のワークシートとは異なるオブジェクトであるため、For Eachループで扱うとエラーが発生することが原因でした。
知人は、このエラーを回避する方法を見つけたいと考えており、特定の種類のシート(通常のワークシート)だけに処理を適用したいと望んでいます。
アドバイスと解決策
この問題の原因は、ActiveWorkbook.Sheetsコレクションに「ワークシート」以外のシート(例えばチャートシートや他の特殊シート、場合によっては「モジュールシート」が存在する場合)が含まれていることです。For Eachループでこれらの非ワークシートオブジェクトにアクセスしようとすると、予期しない動作やエラーが発生します。
以下に、問題の原因を理解し、回避するための具体的な解決策を詳しく説明します。
1. シートの種類を判別する方法
VBAではシートオブジェクトには種類(Type)があり、通常のワークシートは "Worksheet" タイプです。それ以外にも "Chart" タイプや "DialogSheet" タイプなどがあります。これらのタイプの違いを確認することで、特定のシートタイプにのみ処理を行うことができます。
解決策の基本アプローチ:
- ループ中に各シートの
TypeName関数を使用して、そのシートの種類を判別する。 - もしシートの種類が "Worksheet" であれば、そのシートに対して処理を実行する。
具体的なコードは以下のようになります:
この方法によって、通常のワークシート以外のシートは処理対象から除外され、エラーが発生するのを回避できます。
2. 詳細なシート種類の確認
必要に応じて、処理対象をさらに絞り込むことができます。例えば、特定の名前のシートを除外したり、特定の条件に合致するシートだけに処理を行いたい場合があります。
例:特定のシート名をスキップする
このコードは、通常のワークシートで、特定の名前を持たないシートだけを対象とします。
3. ChartObjectsや他のコレクションを利用する方法
Excel VBAでは、Workbook.Worksheets コレクションは通常のワークシートだけを含みます。したがって、もし「モジュールシート」などの特定の非ワークシートオブジェクトが問題であれば、以下のように Worksheets コレクションを使う方法も有効です:
Worksheets コレクションは通常のワークシートのみを対象とするため、Chartシートやその他の特殊シートは含まれません。ただし、これを使う場合、「モジュールシート」が何を指しているかによります。通常、モジュールは VBAProject 内のコードモジュールを指し、シートとは別物なので、これに該当するシートは存在しないはずです。
4. エラーハンドリングを利用した対処法
上記の対策に加えて、念のためエラーハンドリングを設けることで、不測のエラー発生に備えることもできます。以下のように On Error Resume Next を使ってエラーをスキップし、処理を続行する方法もありますが、根本原因の解決にはならないため注意が必要です。
ただし、この方法はエラー自体を無視するだけなので、どのようなエラーが発生しているのかを見逃す恐れがあります。可能な限り、前述のようにシートの種類をチェックする方法でエラーを回避することが推奨されます。
5. モジュールシートの理解と対処
ここで、知人が言及している「モジュールシート」が何を指しているかを正確に理解する必要があります。Excel VBAにおいて、通常「モジュール」はコードを格納する場所を指し、シートではありません。そのため、「モジュールシート」とは通常の意味では存在しない可能性があります。しかし、もし知人が誤って「モジュール」という言葉を使って「チャートシート」や特殊なシートを指している場合、それらのシートが問題になっていると考えると、上述の方法で対処できます。
6. まとめと次のステップ
エラーの発生原因は、For Each ... In Sheets ループで通常のワークシート以外のシート(例えばチャートシートなど)に対して処理を試みようとしたことに起因している可能性が高いです。この問題を解決するための具体的な手順は以下の通りです:
-
シートの種類をチェック
TypeName関数を使用して、現在処理対象のシートが "Worksheet" であることを確認し、そうでない場合は処理をスキップする。 -
Worksheetsコレクションを利用
もし問題が通常のシート以外に関連している場合、ActiveWorkbook.Worksheetsコレクションを使用して、通常のワークシートのみを対象にする。 -
必要に応じたカスタマイズ
特定のシート名や条件で処理を行う場合は、If文でさらに絞り込み条件を追加する。 -
エラーハンドリング
予防的なエラーハンドリングを追加して、予期しないエラー発生時にスムーズに処理を続行できるようにする。
これらの対策を講じることで、モジュールシート(またはワークシート以外のシート)によるエラーを回避し、安全にすべての通常のワークシートに対する処理を行うことが可能になります。